糖尿病は、おとなの病気と考えられがちですが、子どもにも起こります。
そればかりか、インスリンをつくる能力が極度〈きょくど〉に低下、あるいはなくなってしまう型(1型糖尿病)は、むしろ子どもに多く発病します。おとなに多くみられる糖尿病は、インスリンの分泌のしかたが悪くなったり、あるいはインスリンの効き方が悪くなるタイプ(2型糖尿病)ですが、最近は、この型が中学生や高校生にも多く発見されています。
おおよそ6~8歳前後で発症する糖尿病には1型が多く、10歳を過ぎた子供には2型の糖尿病が多く見られます。そして、2型の小児糖尿病を患っている患者に多くみられるのが、治療を途中で止めてしまうという点です。自覚症状がなく、治療も1型の様にインスリンの注射ではなく食事療法が殆どであるため、治ったと勘違いをし、治療を止めてしまう患者が多いのです。特に小児糖尿病の患者は自分の成長期が重なり、自分で食欲をコントロールするのが難しく、悪化し合併症を引き起こす危険もあるのです。
以前は、小児糖尿病は遺伝性の病気であると考えられていた時代もありました。しかし、現在では、患者さんの両親や兄弟に糖尿病が多くみられるのは、2型糖尿病の場合であり、1型糖尿病で家族に糖尿病のみられるのは、むしろ少ないことが知られています。
ひとつの体をふたつに分けた場合と考えられる一卵性双生児〈いちらんせいそうせいじ〉で、両方とも糖尿病になるのは、40~50%です。このことは、遺伝を無視できないにしても、遺伝以外の条件が大きく発病に影響することを示しています。
現在、自己免疫〈じこめんえき〉※を起こしやすい体質などが遺伝すると考えられています。
こういう体質をもった子どもが、ウイルスに感染し、あるいは化学物質の影響を受けると、すい臓でインスリンをつくるβ細胞〈べーたさいぼう〉を攻撃する免疫細胞がつくられます。この免疫細胞が、β細胞を破壊〈はかい〉して、インスリンをつくれなくしてしまいます。
破壊が始まっても、最初は無症状で、時々尿糖が出るだけです。しかし、大多数のβ細胞がこわれると、インスリンが絶対的に不足し、糖尿病の症状が出てきます。β細胞の破壊が始まり、症状が出るまでには、数か月の場合もあれば数年間の場合もあり、この間は無症状であることも多いようです。
1型糖尿病の大部分はこのような自己免疫によるものですが、なかには自己免疫の関わりが明らかでない場合もあります。
大人の糖尿病の大部分は、インスリン非依存型糖尿病といわれ、体質や生活習慣が原因として発症し、インスリンの働きが弱まる病気です。自己免疫異常でインスリンが作れなくなる小児糖尿病とは明確に区別されます。子どもや若年層に多いのが1型糖尿病ですが、近年、生活環境の変化から子どもにも2型糖尿病の糖尿病が増えてきました。
2型糖尿病でも、子どもの場合はやはり成長のためのエネルギーが必要なので、成長に見合った食事は必要です。しかし、著しい肥満である場合や成長が止まった場合には、大人と同じように食事制限が必要になります。また運動することにより、血糖コントロールを改善することができます。マラソン、プール等の学校でのいろいろな運動は、低血糖に注意しながら、健康な子どもたちと同じようにできます。
さて1型糖尿病・2型糖尿病のいずれであっても、大人の糖尿病以上に子どもの糖尿病は家族の支えが必要となります。年間発症頻度は、小児10万人に4~6人の割合です。肥満が多いが、肥満でなくても発症します。清涼飲料水の過剰な取りすぎによるペットボトル症候群など、きちんと血糖値をコントロールしないと重篤な合併症が発症する危険性があります。規則正しい食事の管理と子どもの体調管理は、子どもの努力と同時に家族のサポートが不可欠です。医師との連携も大切です。
ペットボトル症候群とは、簡単に言えば「急性の2型糖尿病」です。肥満した若者に多く、糖が多く含まれている清涼飲料水を長期飲み続けたことにより血糖値が急激に上昇し、意識不明の昏睡状態に陥ってしまうという、恐ろしい症状です。のどが渇くたびに清涼飲料水を飲むというのを続けていると、血糖値は当然上がり、軽い糖尿病の状態になります。糖尿病になると、のどが渇くという症状が現れ、また清涼飲料水を摂取する。という行為を続けていると、悪循環に陥り、最終的に意識不明の昏睡状態に陥る『ペットボトル症候群』を引き起こしてしまうのです。普段から、のどが渇いたからとジュースなどを摂取するのではなく、しっかりとした食生活や水分摂取を心がけましょう。
炭酸飲料やスポーツドリンクなどの清涼飲料水の多くには、100mlあたり10グラム程度とかなり糖分が多く含まれています。容量の多い清涼飲料水のペットボトルで飲みすぎて起こる糖尿病性ケトアシドーシスは、ペットボトル症候群と呼ばれています。糖尿病の悪化した状態を糖尿病性ケトアシドーシスと言うのです。