糖尿病と低血糖
糖尿病は、インスリンの量や作用が不足して、高血糖状態が続く病気です。この高血糖を治すのが糖尿病の治療ですが、それには血糖を下げる飲み薬やインスリンを使うことが少なくありません。これが効き過ぎて血糖が下がり過ぎるのが低血糖です。糖尿病では、低血糖に注意しなければならないことが多々あります。
糖尿病治療の基本は血糖コントロールですが、厳格な血糖コントロールをめざせば、当然のように低血糖を起こしやすくなります。それではほどほどのコントロールでよいのかというと、そうではありません。
低血糖は、薬物療法をしている人の多くが必ずといってよいほど経験することです。また、適切な処置で対応すればそれで済むことです。しかし、血糖コントロールが悪ければ、必ず合併症が襲ってくるのです。
血糖値が平均値で 68mg/dL まで下がるとグルカゴンなどの拮抗ホルモンが分泌され始めます。さらに 53mg/dL まで下がると、発汗、手足のふるえ、からだが熱く感じる、動悸、不安感、吐きけという具体的な症状が出てきます。これらは血糖値の下がり過ぎでひき起こされる自律神経の症状で、血糖値低下に対してからだが発する警告信号なのです。
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糖尿病は血糖値を上げる力も弱くなる
低血糖は、薬や注射で補ったインスリンの量が、からだのインスリン必要量を上回ったときに起こります。
具体的には、食事の間隔をあけ過ぎたとき、食事の量が少なかったとき、いつもより身体を動かし過ぎたとき、朝食前に運動したとき、飲み薬やインスリンの量を間違えたとき、飲み薬(SU剤)の働きを強める薬を併用したとき、インスリンを注射した直後に運動をしたときなどがよくあるケースです。また、シックデイで血糖値の変動が大きくなりがちな日も、低血糖を起こすことがあります。
1型糖尿病の患者さんが低血糖になる原因としては、血糖値を上げる作用のある、拮抗ホルモン(グルカゴン、エピネフリンなど)の分泌能力が低下していることもあげられます。
健康な人の場合、血糖値が下がってくるとグルカゴンなどの拮抗ホルモンが分泌され、血糖レベルを正常(70mg/dL 以上)に保とうとします。しかし糖尿病では、インスリンの分泌能力と同様に、拮抗ホルモンの分泌能力も低下していることが多いので、これができません。
薬物療法を行うときの注意点
糖尿病の薬物療法である、飲み薬(経口血糖降下薬)による治療やインスリン療法を行っていくときの注意点としては、「低血糖」があります。
低血糖とは、血糖値が必要以上に低くなりすぎてしまう状態のことです。低血糖の状態になると様々な症状があらわれ、対処せずにほうっておくと「昏睡(こんすい)」という危険な状態になってしまいます。
ですから、低血糖になったらすぐに対処して、低血糖状態から回復する必要があります
低血糖の症状
低血糖の症状は、低血糖の進み具合によって様々な症状が起こります。
低血糖の初期の段階では、あくび、不快感、考えがまとまらない、急激な空腹感、などの軽い症状が起こります。そして、さらに低血糖が進むと、だるさ、眠気、イライラする、吐き気、目がちらつく、頭痛、無気力、などの症状があらわれてきます。
これらの低血糖の初期症状が出たときに、すぐに対処しないとさらに低血糖は進み「冷や汗」、「手の震え」、「動悸(どうき)」、などの低血糖の時によくみられる症状や、めまい、脈拍が速くなる、顔面蒼白(がんめん そうはく)、などの症状が起こります。
そして最後には、意識がなくなり、痙攣(けいれん)、そして「昏睡(こんすい)」という危険な状態になってしまいます。
このような症状があらわれたら、すぐに病院へいって治療を受ける必要があります。治療が遅れると、脳に後遺症が残ったり、命を落とすこともあります。
低血糖によりあらわれる症状は患者さんにより違いがありますが、症状のあらわれ方には患者さんにより決まった傾向があります。